着物を着付けする際には、下着や肌着、襦袢、衿、裾、帯、お太鼓が必要になります。本記事では、その中の「襦袢」について詳しく解説します。襦袢には、様々な種類が存在するうえに、それぞれの役割も変わってきます。
着物を着用したことがある方は、襦袢とはどんなものか理解していると思います。しかし、一度も着物を着用したことがない方や、これから着物を着たいと考えている方には分からない方も多いのではないでしょうか。襦袢とは簡単にいうと、着物の下に着る下着のことです。
襦袢を着ることで、着物を美しく見せることができ、汚れを防ぐ効果もあります。そこで今回は、襦袢と各それぞれの着物との合わせ方も解説するため、本記事を参考にして襦袢の概要を学んでいきましょう。
襦袢(じゅばん)とは?

はじめに、襦袢とは着物の下に着る服装のことです。襦袢には3種類存在し、「長襦袢」「肌襦袢」「半襦袢」があります。また、それぞれの襦袢には役割や種類なども存在し、着物を着用するうえで欠かせないアイテムです。
例として、長襦袢の形の種類には3つ程度存在し、長襦袢タイプと二部式襦袢タイプ、嘘つき襦袢タイプなどがあります。このように、長襦袢の中でも種類があるため、使用用途に応じて選びます。
基本的に、襦袢は着物を綺麗に着こなす際に着用するものであり、汗や汚れなどを防ぐ役割があります。
襦袢の種類とそれぞれの役割

ここまで、襦袢の概要や種類などを解説しました。ところで、本記事を読んでいる方の中には、襦袢の種類は理解したものの、それぞれどんな役割があるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、襦袢の種類とそれぞれの役割などを解説します。結論として、下記のような襦袢の役割を解説します。
- 長襦袢
- 肌襦袢
- 半襦袢
それぞれ順番に見ていきましょう。
長襦袢
長襦袢とは、着物の下に着る下着のことです。長襦袢は、あくまで下着であるため、長襦袢姿で外出することは恥ずかしいことです。映画で女優さんが長襦袢を着用してるシーンは存在しているものの、プライベートではあくまで下着として着用すると覚えておきましょう。
また、長襦袢と似ている言葉で、後述解説する肌襦袢といった下着も存在し、それぞれの役割が異なります。簡単に説明すると、肌襦袢は素肌をガードする役割を持ち、長襦袢は肌襦袢の上に着用します。
つまり、着物を着る順番としては、和装ブラを付けた後に肌襦袢を着用し、その上に長襦袢を着て着物を着るという順番です。そもそも長襦袢が必要な理由としては、下記の5つの役割があるからです。
- 着物を汚れを防ぐため
- 防寒のため
- 露出を控えるため
- 動きやすくするため
- 重ね着のお洒落を楽しむため
着物の汚れを防ぐため
そもそも着物は衿があってこその着物であるため、長襦袢は着るものの、着なかった場合は汗や皮脂などが着物に付着してしまいます。それゆえに、着物を毎回洗ったり、着れなくなったりするので、長襦袢を着用することで汚れを付着させないように気を付けましょう。
防寒のため
冬場に着物を着る際には、防寒のため長襦袢を着用します。それゆえに、着物の下に長襦袢と肌襦袢をなどを着ることによって、保温効果を高めることができるのです。また、夏場も同様に長襦袢を着用し、汗が着物に付かないようにします。
なお、夏場に着る着物は生地が薄いものもあるため、季節に合わせて選んでみてください。
露出を控えるため
多くの場合、着物は露出が多い装いです。袖口の部分では、腕を上げると脇まで筒抜けで見えてしまいます。また、女性用着物に限っては脇の部分に身八口が空いているため、長襦袢を着ていない場合、素肌が露出してしまいます。
加えて、歩いている際には着物が開くことがあり、長襦袢を着用していない場合、素足も見えてしまうのです。そのため、長襦袢は素肌の露出を防ぐために大きな役割を果たしています。
動きやすくするため
長襦袢を着ていない場合は、着物が足に引っ付いたりまとわりついたりするため、動きにくくなってしまいます。なぜなら、膝の裏は汗をかきやすいので、着物が引っかかってしまうからです。
着物を長時間着用する方は、必ず長襦袢を着て出かけるようにしましょう。
重ね着のお洒落を楽しむため
最後は、長襦袢の醍醐味である重ね着のお洒落を楽しむためです。着物は、後ろ姿を見られることが多く、着物好きな方は長襦袢にこだわっている方が多いです。なお、着物も袖から長襦袢が見えるので、後ろから見ると長襦袢が分かるようになっています。
お洒落な長襦袢は、見た目が綺麗に見えるため、お洒落を楽しみたい方に最適な下着です。また、長襦袢には季節限定の柄物もあり、自分の好きな色や柄などから選ぶことができます。
なお、半衿も同様に柄付きのものや、生地にこだわるとお洒落を楽しむことができるでしょう。このように、重ね着のお洒落を楽しめる下着であるため、長襦袢の大きな役割といえます。
肌襦袢
肌襦袢とは、長襦袢の下に着る下着のことです。肌襦袢を着用することで、素肌をガードする役割があり、汗を吸収してくれます。着物を着る順番としては、和装ブラを付けた後に肌襦袢を着用し、長襦袢を着るという流れです。
半襦袢
半襦袢とは、肌襦袢と長襦袢の両方を組み合わせた襦袢のことです。そのため、半襦袢を着用することで、肌襦袢と長襦袢を着用しなくてもよいのです。たとえば、夏場に着物を着る際には、長襦袢と肌襦袢を着る場合、暑さで汗をかいてしまいます。
そのため、半襦袢のみを着用することによってスッキリとした装いが可能になります。
襦袢の着物との合わせ方

ここまで、襦袢の種類やそれぞれの役割などを解説しました。ここでは、襦袢と各着物との合わせ方を紹介します。結論として、下記のような着物と合わせて解説します。
- 振袖と合わせる襦袢
- 訪問着と合わせる襦袢
- 留袖と合わせる襦袢
- 喪服と合わせる襦袢
- 小紋と合わせる襦袢
それぞれ順番に見ていきましょう。
振袖と合わせる襦袢
振袖は、着物の中で最も格式が高い着物です。また、基本的に振袖は結婚式や成人式などに着用する着物であるため、フォーマルな場に着ていきます。なお、振袖に合わせる襦袢は、着物の色や柄などに合わせて選ぶと良いでしょう。
多くの場合、振袖の柄や色などは派手なものが多いうえにインパクトも強いので、襦袢も華やかな色を選ぶと合わせやすいといえます。なお、振袖については下記の記事にて詳しく紹介しているため、ぜひ参考にしてご覧ください。
振袖とはどんな着物?種類と着用される場面、選び方について解説!
訪問着と合わせる襦袢
訪問着は、人の結婚式に出席する際や子供の入学式や卒業式などのセレモニーごとに着用される着物です。また、授賞式などの式ごとにも使用できるものの、振袖や留袖などと比較した場合は、格が下がってしまいます。
加えて、訪問着はカジュアルな場やフォーマルな場にも着ていくことができ、幅広いTPOに対応している着物です。そんな訪問着に合わせる襦袢は、訪問着の色や柄などに合わせて選んだり、または真逆の色や柄などを選んでみても良いでしょう。
たとえば、訪問着をフォーマルな場で着用する際には、失礼にあたらない白色や無地などの襦袢を着用し、反対に訪問着をカジュアルな場で着用する場合は、華やかな色や目立つ柄の襦袢を着ても良いでしょう。
訪問着に合わせて襦袢を選ぶことをおすすめします。なお、訪問着については下記の記事にて詳しく紹介しているため、本記事と併せてご覧ください。
留袖と合わせる襦袢
留袖は、子供が結婚する際に母親が着る着物です。また、新郎新婦の親戚の方も留袖を着用します。留袖には2種類存在し、色留袖と黒留袖があります。黒留袖の特徴は紋が5つ入っており、金色や銀色の豪華な帯袋で二重太鼓です。
反対に、色留袖の場合は1つ紋や3つ紋が背中に付いており、色留袖よりも黒留袖の方が格式が高いです。黒留袖と合わせる襦袢に関しては、白色の襦袢を選びましょう。基本的に、黒留袖は新郎新婦の母親が結婚式にて着用する着物であるため、襦袢は白色と決まっています。
一方で、色留袖の場合はお食事会や、外出する際に着る着物であるため、合わせる襦袢は可愛らしい柄や華やかな色がおすすめです。なお、留袖については下記の記事にて紹介しているため、興味がある方はぜひ参考にしてご覧ください。
留袖とはどんな着物?種類と着用される場面、選び方について解説!
喪服と合わせる襦袢
はじめに、喪服とはお葬式やお通夜などに出席する際に着る服装のことです。基本的に、喪服は黒色であり、礼装服とも呼ばれています。喪服はスーツと似ているものの、色彩や染め方などが異なります。
また、喪服の種類には3種類存在し、正喪服と準喪服、略喪服があり、着物で例えると格式のようなものです。一般的に喪服のマナーは、黒色の礼装を着用し、下に着る襦袢は白色でなければなりません。
なお、お葬式にスーツで出席する際も同じで、白色のワイシャツを着用します。そのため、喪服に合わせる襦袢は、色や柄などが入っていない白色を選び、吉祥文様のような柄は避けましょう。
なお、喪服については下記の記事にて解説しているため、本記事と併せてご覧ください。
小紋と合わせる襦袢
小紋とは全体に柄が入っている着物のことです。柄の大きさは様々あり、大きい柄もあれば小さい柄が入っているものもあります。また、飛び小紋といった細かくて控えめな柄が入っているものもあります。
加えて、小紋の格式は着物の中だとかなり低く、浴衣と同様にカジュアルな場での着用が一般的です。小紋に合わせる襦袢は、カジュアルな色や柄などを選ぶと良いでしょう。小紋は、カジュアルな場で着用するため、襦袢の色や柄などを気にする必要はありません。
なお、小紋については下記の記事にて紹介しているため、ぜひ参考にしてご覧ください。
小紋とはどんな着物?着用される場面や種類、選び方について解説!
襦袢は買取してもらえる?

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