現代社会を生きる皆さんにとって、反物という単語は聞きなれないものとなってしまいました。しかし、着物に興味をお持ちの人や、着物を売りたいと思っている人にとっては、ぜひ知っておきたい単語です。本記事では、そのような反物について、概要や種類、メリットやデメリットなど丁寧に解説していきます。
反物とは?

反物とは、着物を仕立てる前の布のことを指し、着物一着分の生地のことを「一反」と呼びます。反物は筒状の芯に巻かれており、同じ柄の繰り返しになっている「小紋」「紬」「付け下げ」「浴衣」などの着物の素材となります。
着物を仕立てるときには、その着物の持ち主となる人、つまり身につける人のサイズに合うように作られます。しかし、日本人の身長や体格は昔と比べて大きくなっています。このことから、反物にも変化が起きているのです。
反物を織る時に目安とされているサイズは「三丈物」と呼ばれる、幅9寸5分(約36cm)の長さ3丈(約12m)のものです。
しかし現在では日本人の身体に合わせて変化して、幅が37〜38cmで長さは12〜14mくらいのものが主流になっているようです。この反物ですと、170cmくらいの人までなら着物を仕立てられます。
その他にも、より大柄な方でも着られるようにと、幅広と呼ばれるものも生産されています。
反物の生地の種類

反物は着物の生地のことですから、着物の種類が多くあるように反物の生地の種類も多くあります。本章ではそのような種類について解説していきます。
絹
反物の生地でたて糸とよこ糸とも絹糸で織ったものは正絹と呼ばれます。反物のほとんどは正絹が使われていて、振袖や留袖や訪問着や長襦袢や紳士着物など広く使われています。
そのような絹織物にも織り方や特徴により呼び名がありますので、順番に解説していきます。
綸子(りんず)
綸子とは、たて糸とよこ糸をよらない糸を使用して織られた生地です。光沢があり柔らかいのが特徴で、白生地のまま白無垢に使われることもあります。しかし、光沢が強いので、黒留袖や喪服には使用できません。生地が薄いため、袷仕立ての他にも単衣仕立てにもできます。
紋意匠(もんいしょう)
紋意匠とは、よこ糸が二重になって織られており、地紋が浮き出て見える生地です。もとは意匠糸と呼ばれる、太さや色の異なる2本以上の糸を絡み付かせたものを使用していたので、この名前になったと言われています。また色無地や訪問着、小紋、羽織、コートなどにもできます。
縮緬(ちりめん)
縮緬とは、凸凹した表面が特徴の生地です。よこ糸をよって回しているため、そのような凸凹とした生地になります。絹だけでなくレーヨンやポリエステルで作られた縮緬が現在はあります。また着物、帯、帯揚げ、半衿と幅広く使われています。
一越縮緬(ひとこしちりめん)
一越縮緬とは、縮緬よりしぼと呼ばれる凸凹が小さく、比較するとなめらかです。歴史が古く、しぼが小さいことから、高級品とされています。またこの特徴からあらゆる着物や帯、小物などにも幅広く使うことができます。
紬(つむぎ)
紬の特徴は産地や生地によって様々です。大島紬、結城紬などが有名で、全国各地で織られています。そして各地の風土や気候により素材や染料、織技法が異なります。紬着物は普段着やおしゃれ着として使用されます。趣味やパーティー、ちょっとしたお食事会にぴったりです。
絞り(しぼり)
絞りとは「括り粒」と呼ばれる立体的な凹凸や、染色のときに括ったり摘んだりして色が染まらず白く残った模様が特徴的な生地です。特に手間のかかる総絞りは高価なものだといわれていて、江戸時代では禁止令が出たほどです。そのため、総絞りの振袖を扱っているレンタル店などは少なく、着物好きなら一度は袖を通してみたいものです。
銘仙(めいせん)
銘仙とは、先染めの平織り絹着物です。糸によりをかけないで織ったもので、あらい絹布になります。縞や絣模様が多く、比較的安価で手に入りました。また、昭和20〜30年代に流行しましたが、ウールや化繊の出現により、姿を消してしまいました。
お召し(おめし)
お召しとは先に生糸を精錬して、その絹糸を先染してから織りあげたものです。語源が「高貴な方がお召しになる」から来ていると言われるほどに、江戸時代までは武家や貴族の方が好んだと言われています。お召しには縞御召、無地御召、紋御召などの多くの種類があります。
木綿
木綿とは、綿花を材料にしている生地のことです。絹織物よりも重く厚く滑りにくいので、単衣に仕上げることが多いです。また、自宅での洗濯も可能なので気軽に使用しやすいです。久留米絣、弓浜絣、松坂木綿などが有名で、産地によって名前がつけられています。また、綿しじらやデニム生地などもあり、着物や帯、小物と幅広く用いられます。
麻
麻には、シボとよばれる凹凸のある生地の「縮み」と、細い麻糸で織られた平織りの「上布」があります。
縮みは糸に強いよりをかけて、シボを作ります。小千谷ちぢみや明石ちぢみが有名です。
上布は麻を細くして紡ぎ、手績みの糸で織られた上質な平織り麻織物のことです。宮古上布、越後上布などが有名です。また、麻織物は着物や帯、小物に用いられます。
化繊
化繊とは、化学繊維のことです。たとえばナイロンやポリエステル、レーヨンなどのことで、現在の着物はポリエステルが主流となっています。
ポリエステルは安価で自宅で洗えて、シワがつきにくいなどの利点があります。
浴衣
浴衣生地は、主に綿のコーマ生地です。しかし現在ではポリエステルや麻混のものもあります。一般的には平織りが用いられます。
反物の仕立て方3種類

反物には仕立て方の違いが3種類あります。仮縫いの仮絵羽を除けば、2種類は着る季節も決められています。それでは、解説していきます。
袷(あわせ)
袷とは表地と裏地の2枚が重なってできていることから、非常に暖かく、重厚感があります。また、10月上旬から5月下旬までの寒い時期に着用します。
袷着物は、表地に八掛と胴裏という2種類の裏地を縫い合わせて仕立てています。
八掛とは裾部分につける裏地のことで、表から見える部分になります。なので、色や柄にオシャレさをプラスすることができます。
また胴裏は着物の胴部の裏側のことです。完全に見えない場所なので、基本的に白地が用いられます。
単衣(ひとえ)
単衣は袷と違い、裏地がついていない着物です。通気性が高いことから、6月と9月の暖かい時期に着用され、夏物とは区別されます。
また居敷当てというものを当てられることがあります。腰の部分を補強するためのもので、立ったり座ったりが多い方の着物の布が破れたり縫い目が避けたりするのを防ぐためのものです。
仮絵羽(かりえば)
仮絵羽とは、着物を仮縫いした状態のことをいいます。仮縫いをしたことにより、全体のイメージがつきやすくなります。
振袖や留袖、訪問着は柄全体が繋がっているようになっているので、反物ではなく仮絵羽の状態で陳列されることが多くあります。
反物で買うべきか

反物を買おうとしている皆様にとって、気になるのがメリットとデメリットです。反物で購入いただくと、オーダーメイドで仕上げられる一方、どのようなデメリットが挙げられるのでしょうか。
反物で買うメリット
反物で購入するメリットはお好みで着物の裏地をつけられたり、寸法も自分にあったものに出来ることです。完全にオーダーメイドとなりますので、自分の好きな着物に仕上がります。
反物で買うデメリット
一方でデメリットもあります。まず、仕立てるのに時間がいるという点です。すぐに着用されたい方には向きません。それに、反物の状態では出来上がりのイメージがつきにくいことがあります。その点に注意しておいてください。
反物を持っていて売りたいなら

反物は和服と違い、身長や体格で人を選ばないので買い手がつきやすいです。さて、そのような反物を売りたいと思っている方に向けて、買取相場について解説していきたいと思います。
反物の着物の買取相場について
買い取り価格は、目立った汚れや痛みのないもので1〜3万程度です。しかし、正絹の反物であれば3〜4万ほどの値段がつくこともあります。
また結城紬や大島紬などの反物でしたら、それ以上の値段がつくことがあります。
結城紬は重要無形文化財やユネスコ無形文化遺産などに登録されており、国内外問わずに高く評価されています。そのため、反物でしたら10万円を超えるものが多く、希少なものであれば数十万円以上の価格が付くことがあります。
結城紬と並ぶほどの高級品が大島紬です。コブラン織りやペルシャ絨毯と並ぶとも言われている大島紬の買取相場は4〜10万円です。状態のいいものであれば、20万円以上の値段がつくこともあるそうです。
反物の買取なら「バイセル」がおすすめ
着物や反物はタンスに長年しまわれていると、虫食いやカビの影響を受けやすいものです。状態の良いうちに買い取りに出すことが、少しでも高く売るポイントです。
しかしフリーマーケットアプリでは、なかなか売れなかったり、トラブルがあったりと手間がかかります。
そこでお勧めしたいのが、買取業者のバイセルです。
バイセルは累計買取実績1400万点以上の買取業者で、日本全国で買い取りサービスを行なっています。また出張買取や店頭買取、宅配買取と買取方法を選べるのが特徴です。
出張買取は売りたい物が多く、困っている方にお勧めできます。最短で即日の訪問が可能で、査定料や送料、出張料などの手数料がすべて無料となっています。
また店頭買取では、店頭に売りたい物を持ち込んで査定することができます。予約なしでも持ち込むことができ、ご相談だけで来店される方も多いようです。
そして宅配買取は箱に詰めて送るだけなので、お忙しい方にピッタリです。もちろん送料や査定料は無料で、宅配キットまで無料です。自宅にいながら査定ができます。
バイセルは着物の買取に力を入れており、実績も多数あります。証紙のない着物や、汚れている着物や反物も査定してくださいます。
「早く、高く、丁寧」を信念として買取を行っているバイセルに、一度ご相談してみてはいかがでしょうか。
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